
ご覧いただきありがとうございます。
そんな悩みを解決します。
これまでコールセンターで500回以上クレーム対応を実施してきた私が対応のコツをお伝えします。
この記事を読むとわかること
・クレームの本質
・クレーム対応のコツ5つ
・クレーム対応に必要なマインド
コールセンターで1番悩まされるのはクレーム対応ですよね?
私も入社当初は、コールセンターで活躍するにはクレーム対応がしっかり出来ないといけない!そんな風に思いながら働いていました。
しかし、現実はそんなに甘くありません…
「あなたじゃ話にならないから他の人に代わって」
「あなたのような人を雇ってるなんてひどい会社なんでしょうね」
と心ない言葉を浴びせられる事が何度もありました。
でも大丈夫です。
この記事ではこれまで数百回クレーム対応をしてきた私の経験を基に、対応のコツを5つお伝えします。
これらのコツを意識して対応を積み重ねていった結果、各部署からクレーム対応の相談を受けるエスカレーション担当に抜擢されました。
今ではクレームに対する苦手意識は全くありません!
コツを実践することで自信を持ってクレーム対応が出来るようになり、周りから頼られる存在となって更に活躍が出来るようになります。
是非最後までお読みください。

クレームが起きる原因
それではまず、クレームが起きる原因をお伝えします。
原因は大きく3つに分けることができます。
クレームが起きる原因①・企業の問題
まず1つ目は企業の問題。
商品そのものに不備があったり、オペレーターの対応が悪いなど人に問題がある場合です。
どんな問題であったとしても、企業としては同じクレームを頂かないために改善活動が必要です。
クレームが起きる原因②・顧客の問題
問い合わせをされた顧客側の問題の場合もあります。
例えば、説明文を読み飛ばしていたり、話を聞いていなかったために生じたクレームです。
この場合は、一方的にお客様を責めるのではなく、淡々と事実を説明して理解を求める対応が必要となります。
クレームが起きる原因③・双方の認識違い
企業と顧客の認識に相違があってクレームを頂くケースもあります。
例えば、「この商品はダイエット効果があります」と薦められて購入したが、実際には期待する効果が得られなかった。
というようなケースです。
このケースでは「言った」「言わない」の水かけ論になり、対応が長期化するため要注意ですね。
早い段階で当時の録音を確認し、事実を述べてご理解頂く対応がベターです。
ただし、先ほどと同様、お客様の勘違いだとしても企業側の伝え方にも改善の余地があったことを伝えて円満解決がベストです。

クレームとは何か?
では次にクレームに対する理解を深めていきましょう。
ここでは、クレームの本質と、クレームは売上アップの貴重な機会であることを解説します。
クレームの本質
クレームとは、直訳すると要求する・主張すると言う意味。
ネガティブなイメージが先行しますが、本来の意味としては「正当な主張すること」です。
グッドマンの法則(※)によると、購入した商品に不満を持っていてもクレームとして申し立てをする人は全体の4%しかいないと言われています。
残りの96%の人はクレームを言わない、サイレントクレーマーなのです。
クレームの電話を受けると、何件もクレーム対応をしている感覚になりますが、全体割合から言うとごくわずか。
つまり、クレームとは企業側からすると数少ない貴重な意見を聞ける場と捉えることができますね。
(※)グッドマンの法則とは
グッドマンの法則とは、クレーム対応と再購入決定率の間に相関関係があることを示した法則のこと。
この法則は、アメリカのマーケティング調査・コンサルティング会社である、TRAP社の創業者John A・Goodman(ジョン・グッドマン氏)の名前からつけられました。
法則を活かすことで、クレーム対応で顧客満足度を向上させることができるというもので、「苦情は宝物」という言葉が生み出されたと言われています。
クレームは貴重な顧客接点の機会
さらにグッドマンの法則を掘り下げます。
先ほどクレームとして申し立てをする人は全体の4%とお伝えしましたが、お客様の問題を迅速に解決することでリピーターになってくれる可能性が高まります。
下記の顧客ロイヤリティ協会のデータでは、苦情を迅速に解決すると高額商品の再購入率は82%と、解決できなかった時の4倍の数値となっています。
低額商品でもリピート率が約2倍と、いかに迅速に解決することが大切かと言うことが分かりますね。
※画像をタップすると拡大できます。
転載元:顧客ロイヤリティ協会
これは、クレームが貴重な意見の場だけでなく、リピート率を高めて売上貢献できるチャンスと捉えることも出来るのではないでしょうか。
クレームは悪いものではない、と知ることがクレーム対応上達の第一歩です。

コールセンターにおけるクレーム対応のコツ5つ
では、早速ここからクレーム対応のコツを解説していきます。
クレーム対応のコツ①:クレームに対するマインドを落とし込む
先ほどお伝えした通り、クレームは顧客との関係強化のチャンス。
迅速に対応・解決することでお客様がファンになり売上アップに繋がります。
また、その意見は企業のサービス改善に繋がり、クレームを解決すると言うことは三方よしで、結果的に皆が得をします。
繰り返しとなりますが、クレームは悪いものではありません。
「あ〜クレームがきちゃったよ〜」
と言うマインドで対応するのと、
「お客様のお困りごとを解決すればまた商品を買って頂ける。しっかり対応しよう」
と言う意識で対応するのでは天と地ほどの差があります。
電話口のお客様も「あ、こいつ嫌そうだな」と言うのはすぐに分かります。
そう思われたらスタートラインにすら立てませんので、まずはお伝えしたようなクレームに対するマインドをしっかりと意識しましょう!
クレーム対応のコツ②:クレーム対応の4ステップに沿って対応する
クレームに対するマインドを落とし込んだら、基本の流れである4ステップに沿って対応を進めます。
ステップごとに解説します。
ステップ1:お詫び
まずはお詫び。
どんなクレームにおいてもスタートはこのお詫びからです。
最初に述べる理由として、お客様に「私は話をしっかり聞きますよ」と聞く姿勢を示すことができるからです。
「え?最初にお詫びをしては非を認めることとなりいけないのでは?」と思われる方もいるかと思います。
が、ここで注意したいのが、お詫び=非を認めることではないと言うこと。
例えば、「この前おたくで買った商品が壊れていた」と言われたとしましょう。
その場合、この時点で本当に商品が壊れているかどうかは分かりません。
初期不良の可能性もあれば、お客様の使い方の問題の可能性もありますよね。
なので、お詫びの目的が非を認めたお詫びではなく、お客様がクレームを言うこととなってしまった怒りの気持ちに対してお詫びします。
このようなお客様の気持ちに対して部分的に謝罪をすることを部分謝罪、または限定付き謝罪、と言ったりします。

先ほどの商品が壊れていた場面での部分謝罪の例は、
「購入頂いた商品が壊れていたということですね。ご不便をお掛けし申し訳ございません。詳しくお話しを伺ってもよろしいでしょうか」
と、次のステップへ自然と流れることができます。
是非、この部分謝罪(限定付き謝罪)を最初に実施しましょう。

ステップ2:事実・要望を明確にする
ここでのポイントは2つあります。
まず1つ目は事実と要望を明確にすること。
応対しながらクレーム対応メモを活用して聞いた内容を確実に残すことが大切です。
例えば、このようなテンプレを使うと良いでしょう。
テンプレ例:
①いつ、どこで
②何があったのか(事実)
③何に対して怒っているのか
④どうしたいのか(要望)
そして、実際の記入例はこんな感じですね。
①いつ、どこで: 3月1日、お客様宅で商品を開梱後
②何があったのか(事実): 開梱したが商品が動作しなかった
③何に対して怒っているのか: 商品が動作しなかったこと。そのせいでせっかく取得した休みが無駄になったこと
④どうしたいのか(要望): 新しい商品への交換 時間が無駄になったのでお詫びの気持ちを示して欲しい
こうして確実にメモに記すことで、管理者へ相談する際にも正しく伝わります。
お客様対応においても、実は要望が違った、と言う行き違いを防ぐことができますので、是非このようなメモを活用しましょう。
そして2つ目のポイントが、聞いた内容に対して確認しながら対応することです。
例えば、このような言葉を交えながら話を進めます。
「〇〇ということでよろしいでしょうか?」
「●●ということですね」
先ほどお伝えしたお客様との行き違いを防ぐという目的もありますが、「あ、この人はちゃんと聞いてくれているんだな」と心理的安心を与えることにも効果的です。
この2点は意識して対応を進めましょう。

ステップ3:解決策の提示
ステップ1・2のプロセスを経て、解決策の提示です。
ここでのポイントは、解決策を提示する前にお客様の了承を得ること。
了承を得ずに話を進めようとすると、
「あ、早く話を終わらせたいんだな」
と思われてしまいます。ここで焦ってはいけません。
クレーム対応に効率性を求めてはいけないと言うことを肝に銘じておきましょう。
このように了承を得るとスムーズに対応ができます。
「お客様のお話はよく分かりました。ありがとうございます。それでは、お客様のご要望に対する対処法についてお伝えしてもよろしいでしょうか?」
了承を得られたら解決策を提示し、解決策にも了承頂いたら
「ご了承いただきありがとうございます。それではそのように進めさせていただきます」
と伝えてステップ4に繋げます。
ステップ4:クロージング
最後のポイントは、クレームであってもお礼の言葉で締めることです。
お礼で締めることでクレームを言ったお客様をアドバイスを頂いた「ありがたいお客様」へと変わります。
対応トーク例
- 「このたびは、貴重なご意見をいただきありがとうございます」
- 「他のお客様にも同じようなお気持ちにさせてしまっていたのではないかと気づく事が出来ました。この度はご指摘頂きありがとうございました」
というような伝え方で、素直に感謝の気持ちを伝える事とよい関係を継続することができます。
そうすることで、何かあればこの人に言えば大丈夫だ、と安心感を持っていただくことができます。

クレーム対応のコツ③:共感しながら話を聞く
コツ②でお伝えした対応を実施する際、ポイントとなるのが共感の言葉を投げかけること。
お客様と言えど同じ人間ですので、共感してくれる人には心を許しますよね。
例えば、このような共感の言葉を対応しながら投げかけると良いでしょう。
- 「状況がよくわかります」
- 「そうだったのですね」
- 「お気持ちお察しいたします」
- 「ご心配になりますよね」
- 「お客様のご不安な気持ちはよくわかります」
- 「お客様のお話、よく理解できました」
本気でお客様のクレームを理解しよう、と考えているのであれば、自然とこのような相槌になるはず。
淡々と対応していても解決に導くことはできないので、共感の言葉を意識して対応しましょう。
クレーム対応のコツ④:NGワードを使わない
クレームを仰るお客様は、当然ながら心象穏やかではない方が多いです。
そんなお客様の心理状況は、何か引っ掛かることを言われたら指摘してやろうという気持ちを持っています。
このような状況で不自然な日本語や、一般的ではない業界用語や専門用語を使われるとますますイライラさせてしまいます。
例えば、ファミコン言葉。
ファミコン言葉とは、ファミレスやコンビニで使われる言葉で、
- 「こちらでよろしかったでしょうか」(よろしかった)
- 「書類のほうはお持ちでしょうか」(のほう)
- 「少々お待ちいただく形になりますがよろしいでしょうか」(〜形に)
これらは全て正しい日本語ではありません。
また、コールセンターの社内用語や専門用語を使うことも避けましょう。
例えば、
お客様「あなたの上司の役職は?」
オペレーター「SVです。」
お客様「SVって何だ?なんの略だ?わかるように喋れ!」
といった感じで、お客様をさらにヒートアップさせてしまう恐れがあります。
クレーム対応中に余計なクレームを生み出さないためにも、正しい言葉遣いは必須です。
もし、言葉遣いにはあまり自信がない…
と言う方はコールセンターで使ってはいけない言葉21選【業界歴13年が解説】で詳しく解説していますので、こちらも是非ご覧ください。
クレーム対応のコツ⑤:クレーム対応後は気持ちを切り替える
長時間のクレーム対応をしてくれた方には、私は必ず労いの言葉をお伝えします。
自分が悪くないのに一方的に責められ、心ない言葉をかけられ、時には泣いてしまう方もいます。
これまで記事でお伝えした通り、クレーム対応はお客様との良い関係を作るチャンスですが、心への負担は非常に大きいです。
対応後に嫌な気分になったら無理をせず管理者へ休憩を申し出て、気持ちを入れ替えましょう。
好きな飲み物を飲む・好きな動画を見るなど、少し電話対応から離れ、リフレッシュすることが大切です。

なお、私も過去にコールセンターの仕事が嫌になり、しばらく仕事を離れたこともあります。
ストレスを溜めない方法などは、コールセンターはストレスで病気になる?【業界歴13年の私が解説】で解説しているので気になる方は是非ご覧ください。
クレーム対応で使える切り返しワード集
次に、実際にクレーム対応で使える切り返しワードをお伝えします。
切り返しワードはクレーム対応において役に立ちますので、しっかりと自分の中に落とし込みましょう。
「商品が使えなかった」※商品やサービスへの不満
ご不便をお掛けして大変申し訳ございません。もしよろしければ、詳細をお伺いしてもよろしいでしょうか。
「電話に出るのが遅い」「対応が遅い」「時間が無くなった」
お時間かかってしまい大変申し訳ございません。
「態度が悪い」「口の聞き方がなってない」
ご不快な思いをさせてしまい大変申し訳ございません。
「説明が分かりにくい」「言っていることの意味が分からない」
分かりにくい説明となり大変申し訳ございません。もう一度説明させて頂きます。
回答を一旦保留にする時
一度、確認のお時間を頂いてもよろいしでしょうか。
すぐに対応できない要求・検討の結果要求に答えられない時
お客様のご要望に添えず大変申し訳ございません。
できるかどうか分からない要求をされた時
お客様のご要望に添えるか確認させて頂いてもよろしいでしょうか。一旦、保留にさせて頂きます。
お客様への同調・相づち
お客様の仰る通りでございます。さようでございます。

なお、ここで挙げたクレームの切り返しワードは一例です。
他には、「あなたの役職は?」「上司の名前は?」「そこ(あなたのコールセンター)の場所はどこなの?」と言ったことも聞かれる可能性があります。
このような細かい内容は会社や部署によってルールが異なるため、事前に管理者へ確認しましょう。
まとめ :クレームは数少ない貴重な意見を聞ける場
今回は「コールセンターでのクレーム対応5つのコツ」についてお伝えしました。
まとめ
- クレームは数少ない貴重な意見を聞ける場
- クレームに対するネガティブなイメージを取り除くことがまず第一歩
- 対応する上でのコツは5つ
- ①マインド ②5ステップ ③共感 ④NGワード ⑤気持ちの切り替え
クレーム対応をしっかりできるようになると、あなたにとっても企業にとっても大きな強みとなります。
是非、この記事の内容を実践して苦手意識を克服し、周りから頼られるような存在になるよう応援しています!
最後に、私がクレーム対応の勉強をしていて1番影響を受けた書籍を紹介します。
これまで2000件以上のクレーム対応を経験し、クレーム・コンサルタントとして活躍されている谷厚志さんの「超一流のクレーム対応」です。
この書籍には基本的なクレーム対応のノウハウからクレーム対応の心構えや考え方、面白いクレームエピソードなどを交えて分かりやすく解説しています。
さらにクレーム対応の知識を深めたい、という方には是非おすすめしたい一冊です。よろしければこちらもどうぞ。

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